第3回研究会(2003.3「これからの街なか居住を考える(飯田市の状況)」

(講演者:飯田市まちづくり推進室まちづくり推進担当専門主査 粂原和代様

(講演要旨)

都心部の状況

飯田市の現在の人口は合併を経て106千人。かつて商都として栄えたが、S22の大火により一部の蔵を除き、ほとんど焼失。その後、区画整理で碁盤の目のように道路を配置して現在の街並みができた。都心部では、人口がS40年代と比較して3分の1に激減、高齢化率は34%に、高齢者の住宅が老朽化、街中に人が入って来ないなど課題山積。

都心部再生の取り組み

商業誘致の見込みも立たず、再開発事業で住宅をつくり定住人口を増やすことにより都心部の活性化を図る方針を出した。再開発事業の担い手として平成10年に第三セクターのまちづくり会社を立ち上げ、保留床である住宅の取得・分譲、駐車場、商業床の取得・管理等を行っている。飯田市初となる分譲マンション36戸は即日完売。中心は3LDK86u、2,800万円前後。購入者は、飯田市出身者で首都圏等からのUターンが6人、その他は市の郊外の戸建て住宅から。管理が楽なことなどが契約理由。50歳程度が中心だが、2世帯向けの2戸セットのメゾネットタイプも好評。公庫融資がつかなかったが、ほとんどの購入者がキャッシュで購入。いい住宅を供給すれば、都心部でまだまだ住む人がいるということがわかった。さらに、文化コミュニティ、イベントといった要素を取り入れた第二地区(分譲マンション29戸)に取り組んだ。また、都市再生推進事業費を活用し、蔵の保存等を含めた面的整備も併せて行った。飯田市では再開発への3億の補助金は固定資産税等の収入を勘案すると7〜8年程度での回収が可能と考えている。都心中心部には分譲マンション、その両側の地区に優良建築物等整備事業で低廉な賃貸住宅を配置するというように、街中での住み分けを考えている。

住宅供給を進める上での課題等

地域密着型の医療施設がない、市内から人が集まるような公共施設や学校がない、市ではこうした施設を都心部の外に出してしまった。また、商売だけをやってきた街では、商栄会がすべてのことをやり、市もコミュニティに立ち入らなかったという経緯があり、都心居住を進めて行く上でコミュニティをつくりにくいという問題が生じる。また地権者の資産をどう守るといった問題も出てくる。従って、現在の街づくりカンパニーでは個人の資産のプロデュースまでやっていくという姿勢。現在では、再開発・ビル管理等のノウハウ・情報が蓄積され、それが街づくりの役に立っている。

魅力ある街にするには、再開発等において誰がパブリックスペースの維持管理費を出すのか、ということまで考えた支援策が必要である。         戻る