平成24年度事業報告
T.【研究事業】
1.調査研究
(1)都市化に関する調査
平成24年度は、政治・経済・社会環境等の諸環境が大きく変化した年であった。東日本大震災からの復興は遅々として進まない中、8月には社会保障・税一体改革関連法が成立し、その後、12月の衆議院選挙で自民党が大勝し、民主党から自民党への政権交代が行われた。自民党安部政権は「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢を軸とするアベノミックスを推進、年度末にかけて円安・株高が進み、消費、雇用も改善に向かい、景気は上向きに転じつつある。他方、貿易赤字が常態化し、大都市と地方との格差が更に顕在化しつつあり、地価も大都市を中心に上昇傾向にある。また、東日本大震災に続く大震災への防災・減災を目的とする「国土強靱化基本法」策定に向けた検討が行われた(2013年5月「防災・減災等に資する国土強靭化基本法案」として国会上程)。このような大きな動きの中で、当財団は「都市化の進展による都市・地域の変化」の実態を直視しつつ、そのあるべき姿について調査研究提言を行った。
@ 都市化に関する調査研究・国土ニュースレターの発行
都市再生・地域再生・国土計画・高齢化問題に関して時宜に即したテーマを選定し、調査研究会を設置し、これをニュースレター「都市化」として発行し、社会に情報発信を行った。具体的には次のテーマを取り上げた。
(@)国土計画のあり方に関する研究(1回、講師:今野修平 当財団評議員)
(A)超高齢化時代における社会資本整備のあり方に関する研究(1回、講師:ニッセイ基礎研究所専務理事櫨浩一氏。なお、「超高齢社会」研究会についてはその成果を出版した)
(B)国土強靭化研究会(3回、宍戸駿太郎当財団評議員他。他に、土木トンネル技術ヒアリング)
(C)国土強靭化港湾研究会(3回、金澤寛氏他)
(C)公共調達研究会(1回、関西学院大学稲沢教授)
(D)連坦都市研究会(1回、PSK総合研究所広岡裕児氏)
A 地域再生報告
政府で推進している都市再生・地域再生の動きを注視しつつ、具体的活動を行っている現地調査を行い、特に、その事業スキーム等についてまとめて、HPで情報発信を行った(6件:福井県和紙産業と越前和紙、岐阜県石徹白(いとしろ)小水力発電、熊本県南小国 野風(やふう)ムラグリーンツーリズム、近江八幡市防災まちづくり、中心市街地活性化関連(路地利用と地域連携、イベントとしての朝市)。
B 地域再生事業の支援
地域における地域再生事業を支援し、地域振興への貢献を行った。資金支援は行わず、現地でのアドバイスを中心とした。なお、各事業については、HPで概要を報告している(3件:岩手県西和賀町三セク再生、兵庫県養父市大屋芸術文化村構想推進事業、茨城県石岡市都市住民のための食と農支援)。
C 計量経済モデルによる消費増税の経済効果に関する研究
計量経済モデルを活用して、アベノミクスの経済効果について(報告書あり)。なお、当該テーマで、「熊本地域経済研究会」で講演等を行った。
(2)地域データベースの充実と活用
地域の経済社会に関する様々なデータベース構築を行った。人口、労働、県民生産、事業所、財政、金融、経済動向、農林水産、製造業、卸小売、サービス、観光、運輸・交通、港湾、エネルギー、情報・通信、生活、文化、国際交流等の広範囲にわたる地域データの収集・整備を行い国土・地域の分析のための基盤整備を行った。当年度は、特に、高齢化関連、地価、及び地域分析に関するデータ整備を行った。なお、この成果を活用して日本地域学会で「経済要因が地価変動に及ぼす影響に関する分析」を「地域学研究」に掲載した。
2.社会への情報発信の仕組み
都市再生、地域再生等財団で調査研究した成果を、HP等を活用して広く社会に情報発信を行った。また、地域経済データについては、問い合わせがあったところへのデータ提供等を行った。
参考
[個別活動]
1.都市化動向に関する研究
1)都市・地域問題に関する自主研究
(@)国土計画のあり方に関する研究開催 講師 今野修平氏
第8回国土計画研究会 平成24年5月25日
(A)超高齢化社会問題研究会開催
第 回 平成25年3月29日 講師 ニッセイ基礎研究所専務理事 櫨 浩一氏
「日本経済の現状」
(B)国土強靭化に関する研究会
第1回 平成24年11月14日
第2回 平成24年12月12日
第3回 平成25年1月10日
第4回 平成25年2月13日
土木トンネル技術ヒヤリング 講師 櫻井春輔氏
(C)国土強靭化港湾研究会 講師 金澤 寛氏
第1回 平成24年12月7日
第2回 平成25年1月25日
第3回 平成25年3月5日
(D)公共調達ヒヤリング 講師 関西学院大学稲沢教授
2)地域再生報告(ホームページに掲載)
和紙産業と越前和紙、石徹白(いとしろ)における小水力発電、熊本県南小国 野風ムラグリーンツーリズム、近江八幡市の最近の動向、中心市街地活性化における
路地活用と地域連携
に関して中心市街地活性化におけるイベントとしての朝市の開催
3)地域再生事業の支援
(@)兵庫県養父市大屋の芸術村構想(兵庫県養父市)
(A)岩手県西和賀町地域資源活用型地域振興
(B)NPO食と農 都市民の農業や食に対する理解を深めるための体験農業等
4)新社会新整備に関する調査
日本経済の成長の選択肢−アベノミクスの評価−
5)研究成果の発信
@国土計画考(5回)
A超高齢化社会問題研究会(1回)
B公共調達研究会(1回)
C国土強靭化と港湾と隧道(2回)
D地域再生報告(ホームページ掲載 上記2)参照)
U.【庶務事項】
1.理事会及び評議員会の開催
(1)第103回 理 事 会
日 時:平成24年6月11日(月)午後2時より午後2時50分
場 所:ルポール麹町内会議室
議 題:「平成23年度事業報告書及び収支決算報告書承認の件」
「役員及び評議員の報酬並びに費用に関する規程変更の件」
(2)第35回 評 議 員 会
日 時:平成24年6月11日(月)午後2時50分より午後3時30分
場 所:ルポール麹町内会議室
議 題:「平成23年度事業報告書及び収支決算報告書承認の件」
「役員及び評議員の報酬並びに費用に関する規程変更の件」
(3)第104回 理 事 会
日 時:平成25年1月9日(水)
場 所:持ち回り
議 題:「米国国債の入換及び特定資産の基金別構成変更承認の件」
(4)第105回 理 事 会
日 時:平成25年2月19日(火)午後2時より午後2時50分
場 所:ルポール麹町内会議室
議 題:「平成24年度収支決算見込報告の件」
「平成25年度事業計画及び収支予算承認の件」
「特定費用準備金の創設と平成25年度分の同資金取崩の件」
「調査研究事業の研究テーマ選定委員発足等の件」
「定款(案)変更の件」
「規程類制定の件」
「公益財団法人への移行認定申請作業の進捗状況報告の件
(5)第36回 評 議 員 会
日 時:平成25年2月19日(火)午後2時50分より午後3時30分
場 所:ルポール麹町内会議室
議 題:「平成24年度収支決算見込報告の件」
「平成25年度事業計画及び収支予算承認の件」
「特定費用準備金の創設と平成25年度分の同資金取崩の件」
「調査研究事業の研究テーマ選定委員発足等の件」
「定款(案)変更の件」
「規程類制定の件」
「公益財団法人への移行認定申請作業の進捗状況報告の件